pumipumivnのブログ

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茨城県で細々とバイオリン弾いています🎻

音楽高校・音楽大学に行くメリット・デメリット

藝高のWEBサイトより

 今は、音楽科は定員割れをしている学校も多いみたいですが、そうなる理由の一つは、『卒業しても仕事が無いのでは』という不安かと思います。

 進路に関しては、相談されることもありましたので、ここでは、私の経験から、音楽高校・音楽大学へ行くメリット・デメリットをそれぞれ5つずつ挙げたいと思います。

 

メリット

➀音楽科目が充実している

 まずは、なんと言ってもこれです。

 音楽高校を例に挙げると、専攻実技のレッスンは勿論のこと、オーケストラ、室内楽、副科ピアノ、副科声楽、ソルフェージュ、聴音、楽典、音楽史…。バイオリン専攻だと副科ビオラもあります。私は高校1年のオーケストラの最初の授業で、突然ビオラパートに放り込まれ、バイオリン用のト音記号で書かれた楽譜ではなく、ビオラ用のアルト記号で書かれた楽譜と、バイオリンには無いC線に戸惑いまくり、最初は全く弾けず、オロオロするばかりで焦りまくりました😭この荒療法(?)のお陰で、大学でのビオラの授業は全く楽で、純粋にビオラの音楽を学べました😀

 私自身は国立の授業料で一流バイオリニストの先生方にバイオリンを師事出来ましたし、音楽を学びたい方にとってはとても良い環境です。

➁同じ目標を持つ人達の集まり

 周りも皆、音楽を学ぶことを目的として入学してくる人ばかり。音楽科以外の方からは、毎日の練習時間の確保がどれだけ大事かという基本的なことから理解してもらえないこともあるのですが、音楽科の学生は勿論それを理解していますし、「音楽を専門に学んでいる」という共通項があるので、お互いに良い意味で切磋琢磨出来ます。

➂学生時代に何を一生懸命に学んだか、他人に分かり易い

 誰からもすぐ『音楽が得意な人』と認識されます。

④音楽系の仕事に就くなら有利

 音楽系の仕事をする場合、資格は必要ありませんが(教員免許を必要とする教員は別ですが)、音楽科を卒業していると、音楽を専門に学んだ証になりますので、音楽系の仕事に就きたい場合は少し有利です。実際、バイオリン専攻の私が経験した限りでは、音楽教室の仕事なら、音高・音大の学歴があれば、講師枠に空きがある場合は、かなりスムーズに採用してもらえます。

 また、卒業後も音楽系の仕事をする人のほうが多いので、その繋がりで、オーケストラのエキストラ等の仕事を得られることもあります

⑤一つのことを究めようとする姿勢・ノウハウが他にも活きる✨

 音楽科の学生は実技と音楽科目をメインに生活しています。一つの分野をとことん学ぶので、日々コツコツ積み上げていくことの大切さを知っていますし、もっと良いものを作らねばと日々思っています。人前で演奏する機会も多いので度胸も集中力もあります。本番で良い演奏が出来なければ全て自分のせい。言い訳が出来ない「結果が全て」の世界です。こういう経験は、社会に出て音楽以外のことをやる時にも活きているなぁと感じることがあります

 

デメリット

➀高校で音楽科に行くと大学も音楽学部に行く流れになる

 高校で音楽科に行くと、大学を他の学部で狙うことのハードルがかなり上がります

 と言うのは、メリットに挙げた「音楽科目の充実」がアダになります。

 普通科で当たり前に勉強していることを音楽科では勉強していません。勿論、音楽科目以外の授業もありますし、藝高の場合は、東京藝大の入試に英語と国語は必要なので、この二科目は、しっかり授業があった記憶がありますが、その他の一般科目は、普通科より、勉強している範囲が狭いです。

 そういう学生生活を送っていて、大学で他の学部を狙うのは、普通科に行っている人よりも努力を要します。ですから音楽高校に入ったら、音楽大学に行くのが一般的な流れになってしまいます。

➁音楽系以外の職に就くと『もったいない』と言われる

 私が最も感じたデメリットです。

 自分が卒業した学部系の仕事に就かないことは、世の中では珍しくも無いことと思いますが、なぜか音楽科だと『もったいない』につながります。「学生の間だけ音楽科で学ぶ」という発想が大抵の人にありません。

 音楽科を出て、音楽以外の仕事に就くのは、「音楽の仕事が出来なかった“挫折した人”」と見られるらしいです😅

 『もったいない』と言われると、時にそれは、自分のやりたいことを全否定されているように感じられて、若い頃は自分の中で葛藤がありました。ですが、言ってくださる方は本当に好意的に言ってくださっているだけなわけですし、自分は自分が選んできた人生に満足しているので、今は全く気にしていません😊

➂視野が狭い

 社会に出てから凄く感じたのは「音楽科は、狭い世界だったんだなぁ」ということです。

 音楽科にいると、当たり前に知っていると思われる音楽的話題。少なくとも私が知る音楽以外の世界では、全く知られていないことがほとんどです😅有名な演奏家の名前とか…。

 東京藝大や東京藝大附属高校は、音楽界の中では東大並み(それ以上の場合も有り)の扱いですが、音楽界以外のかたや、クラシック系音楽に詳しくないかたからは、東大のような評価は全く得られません😅

 とにかく、音楽科で学ぶクラシック系の勉強は、世間では、かなりマニアックな狭い世界です。ですが、小さい頃から、ピアノやバイオリンを真面目にコツコツ習い、音高・音大に行くと、この辺りの感覚がズレます😅

 こういう狭い世界に居ることは、デメリットとも感じますが、だからと言って、これが悪いと言っているのではありません!!!一つのことを深く勉強出来た経験は何事にも代えがたい経験です✨

 ですが、特に高校から音楽科に行くと、周りは音楽家や音楽科の学生ばかり。その生活を最低7年は続けるわけです。良い意味でも悪い意味でも音楽中心の生活になり、気を付けていないと、『音楽(特に専攻実技)が出来ていれば他はどうでも良い』という気になってしまいます。

④社会的地位が高くはない

 中学3年の頃、地元で実績のある学習塾に行き、クラス分け試験によって県立トップ高校を狙えるクラスに在籍していました。結局、受験日が一番早い国立の音楽高校に受かったので(合格発表が1月25日)、他の学校は受験しませんでした。塾では、「都内国立高校」と「地元県立トップ高校」に受かった学生数を大きくチラシ等で宣伝していましたので、藝高は「都内国立高校」の枠に載るはずですが、結局、全く載っていませんでした😅倍率的にも地元県立トップ高校より上だったのに(2022年度の入試で、初めて倍率が2.0倍まで落ちてしまったようですが…。今、音楽科はどこも人集めが大変な状況ですよね…)。最初に「音楽科の社会的地位」を感じた瞬間でした😅

 それでも、学生の頃は「藝高卒」と言うと『頑張った証』になっていた学歴でした。他の音大へ行ったかたや音楽に詳しいかた等々には、『藝高💡天才の集まりだよね』とか😅、『東大に入るより難しいんでしょ💡』とか、言って頂いたことが実際何度かあります😅

 ですが!音楽業界以外の社会に出ると『藝高??そんな高校あるの?』『それって凄いことか?』『…だから何?』という扱いを受ける場面が何度もありました。お陰で勘違いすることなく生きてこられましたが、社会に出ると、音楽科はかなりマニアックな世界だったんだと知りましたし、最初は「世間知らずのお嬢様なんだろうな」と思われることも実際多かったです😅

 音楽科は単なる趣味の延長という認識の方が多く、かけた時間・労力・費用のわりに社会的地位も全然高くないなと改めて知りました😅 

⑤学校では稼ぐ方法を教えてくれない(国家資格が無い)

 音楽高校や音楽大学では、世の中で音楽家として稼ぐ方法は教えてくれません。

 今でこそインターネットの普及によって、音楽科を出ても就職が厳しいことは誰でも知れますが、私達の頃はそういう情報を気軽に見ることは無かったですし、学校で教えて頂いたこともありませんでした。私なんかは「とりあえず大学まで出れば、自分の就きたい仕事(音楽以外の)に就けるんだろう」くらいに本当におめでたい思考回路でした💧自分自身に反省しかありません💦

 例えば医学部だと、医師の国家試験を受けられて、受かれば医師として、地位もお給料も世間から信頼される生活が出来ますが、音楽科には国家資格がありません音楽科を出ていなくても、誰でも「バイオリンの先生」「バイオリニスト」を名乗れます。音楽科以外の高学歴を売りにして音楽活動をされている方も珍しくありませんよね✨

 誰でもなれるぶん、自分でしっかり地位を切り開いていかないと、「楽器が弾ける」というだけで、気軽に完全無償のボランティア演奏だけを頼まれる存在になります。この点は「資格」が無いことのデメリットかなと感じます。

 学校の「音楽の先生」になりたい人は教員免許をとるために大学に行く必要がありますが、他は、音楽科では、ひたすら自分の実技を磨き、音楽の知識を増やす日々です。

 ですから、学生のうちから気を付けておかないと、社会に出た時に、自分に「売り」が無かったり、「楽譜通りに演奏すること」以外に何も使える資格や技能・知識を持っていないことに気づくことになります…😀💦

 

まとめ

 結局、デメリットの方が強いイメージを与えてしまったかもしれません。

 ですが、「音楽科に行きたい」という明確な目標を持っているかたがいるとしたら、それ自体は素晴らしいことです✨

 ですから、上記のようなメリット・デメリットをちゃんと分かって、よく考えながら、音楽科で一生懸命学ぶと、きっと卒業後の生き方が広がるんじゃないかなぁと思います😊✨

 ↓こちらも書きました。

pumipumivn.hatenablog.com